連日お伝えしている両備バス・岡電グループと八晃運輸が展開する「めぐりん」との競争ですが、4月27日にめぐりんの益野線が運行開始され、同日、同路線で競合する両備バスが運賃を取らないという奇策のストライキで対抗しました。
運賃を取らないから乗客に迷惑は掛からないだろうという両備バスの言い分でしたが、実は岡山大学付属小学校では27日のストが発表されたとき、同日の休校を決定しており、実質ストが回避されると分かった26日もやはり「予定通り27日は休校とする」という決定をしたのです。
つまりは顧客に十分迷惑を掛けてしまったことになります。
この点について両備・岡電グループはどのように考えているのでしょうか。
めぐりんを運行する八晃運輸とは
一方の当事者である八晃運輸㈱はどのように考えているのでしょうか。
公式HPに掲載された所感では「市場の活性化を以て市民により充実したサービスを提供する」旨のことを主張しています。
あくまで正当な商行為による新規路線進出なので何も悪びるところはなくて当然です。
一方的に両備・岡電グループが排除姿勢を見せているだけなのですから。
ここで八晃運輸㈱についてまとめてみましょう。
八晃運輸㈱は八晃グループに属しており、創始者は八田武志さんという方です。
グループには様々な業種の企業が属しており、基本は環境関連のようです。
昔は八晃産業がし尿処理業務をほとんど独占的に請け負っており、岡山市とは深い関わりを持っていたようです。
私の小さい頃、汲み取りに来たおじさんに祖母がよく煙草をひとつ渡していたことを覚えています。
「こうすりゃー、おじさんがご機嫌よう汲み取ってくれるんじゃ。」
と祖母が言っていたのを思い出します。
昔のことですから、職業倫理的なことはほとんど気に留める人もいなかったと思います。
それから年数が経ち、岡山市も徐々に下水道が整備されてきました。
そうすると比例して汲み取りの仕事が減ってくるわけで、その減益分をカバーしようと考えたかどうかは定かではありませんが、八晃産業は一般廃棄物処理や産業廃棄物処理、下水関連事業へと進出しました。
事業活動に伴うゴミの処理や浄化槽の清掃を始め、下水道設備工事にも進出しました。
また、グループとしては環境関連で水質検査業務なども請け負ったり、下水道工事の前段階としての測量業務なども事業展開していたようです。
つまりは公共事業という岡山市の予算に深く関わって事業を伸ばしてきた企業グループということが言えるでしょう。
「めぐりん」運行開始まで
その八晃グループが事業として注目したのが公共交通でした。
もともとグループの中に吉備交通㈱やサンタクシーというタクシー会社を有しており、交通事業にはノウハウがあったものと思われます。
そこに路線バスという新たな市場を見つけたのが平成24年でした。
当初、岡山駅からイオンモール岡山や天満屋、岡大附属病院などをそれこそ「巡る」巡回バスとして一律100円の運賃で事業展開していました。
両備グループが運行している西大寺線(めぐりんでは「益野線」)にどういう考えで新規進出したのかは定かではありませんが、おそらく黒字が見込める路線であったことは重要な進出動機であったことでしょう。
それを嫌ったのが両備グループということで今回の騒動になっています。
いずれにしても既に市民生活に影響を来しているのだということを両者には認識していただきたいものです。
岡山市や岡山県、さらには中国運輸局、国土交通省にもなにか解決策を考えていただきたいところですが、民間の競争原理に行政が出過ぎた意見を述べるわけにも行かずということでしょうか、手をこまねいている状況が続いています。
この問題、今後も注目していきたいと思います。