ミステリー作家の巨匠、内田康夫氏が2018年3月13日に亡くなっていたことがわかりました。
浅見光彦シリーズを始め旅情サスペンスの第一人者と評された内田氏の死去を非常に残念に思います。
内田康夫氏は1934年11月15日生まれ、東京都出身です。
埼玉県立川越高等学校卒業の後、東洋大学文学部国文学科へ進みましたが中退されています。
日本テレビ、一光社に勤めた後、コピーライターやCM制作会社を運営していました。
作家デビューはなんと自費出版で、第一作「死者の木霊」、第二作「本因坊殺人事件」と続きます。
第三作「後鳥羽伝説殺人事件」は廣済堂出版より発刊されやっと日の目を見るようになりました。
初期の頃から旅情溢れる背景と伝説をベースとしたミステリー展開には定評があり、既に独自の世界観を創出されていました。
その後はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで作品を生み出し続けました。
浅見光彦シリーズだけでもゆうに130を超える作品があり、他の人気シリーズ岡部警部ものなどを数えると枚挙に暇がありません。
テレビドラマになった作品も多く、浅見光彦を演じる俳優を比較してみるのも楽しみの一つでした。
TBSでは初回から13作までを辰巳琢郎さんが演じ、第14から第31作を沢村一樹さんが演じました。最近の第32作から第35作は速水もこみちさんが浅見光彦を演じています。
そしてフジテレビでは第1作から第13作を榎木孝明さんが演じ、その後第15作から第53作を中村俊介さんが演じています。
それぞれの浅見光彦に味があってどれも興味深い作品に仕上がっていました。
内田康夫氏が描く岡山、倉敷
内田康夫氏の作品に「倉敷殺人事件」があります。
内田氏が岡山に注目してくれたことが嬉しかったものです。
ざっとしたあらすじです。
ある日、東京でデートをしていたOLの前で路地から現れた男が倒れました。
男は「タカハシノヤツ」と言って息を引き取ります。
謎のダイイングメッセージを残した男のことが気にかかり、デートの相手勝浦は消極的な彼女を気にしつつも警察に通報することを決意するのです。
通報を受けた岡部警部は被害者が富山県の福祉施設に関係することを突き止めます。
東京の事件の後、岡山県の倉敷アイビースクエアで女性が毒入りジュースを飲んで死亡するという事件が起きました。
被害者は東京のOLで岡山である男性と会うと言って東京を発ったというのです。
被害女性のOLは岡山県の高梁(たかはし)へ行くと友人に伝えていたということを知った岡部の部下・松岡は、東京の路上で死んだ男が残したダイイングメッセージは人名ではなく地名ではなかったのかと推理を働かせます。
東京、富山、岡山を結んで謎は謎を呼ぶばかりです。
岡部警部の名推理と執念が真犯人を追い詰めます。
内田康夫氏、83歳で死去
そんな数々の名作を世に送り出した内田康夫氏が2018年3月13日亡くなっていたことが分かりました。
83歳だったとのことです。
2015年7月26日、軽い脳梗塞のため入院し、浅見光彦シリーズも終了していました。
2017年には思うように執筆活動ができないことから休止宣言をされました。
そして2018年3月13日、敗血症のためこの世を去られました。
岡山を舞台とした作品を残して下さったことに感謝しつつ、内田康夫氏のご冥福を心からお祈り申し上げます。
合掌